愛せ、君の人生

 

小池くんはとても強い。

今まで配信されている動画の中で彼が涙を見せたのは、たった一度だけだった。

 

レベル分けテストの再評価の結果、仲間がAクラスから離れてしまった時。美しい涙の矛先は、自分ではなく仲間に向けられた。

彼はいつも自分のことを後回しにして、人に対して感情を向けられる人だ。

 

 

 

小池くんはとても強い。

悔しい時も辛い時も、感情を吐露せずそれを起爆剤にしてパフォーマンスにぶつけられる人だ。

 

彼の穏やかな性格は、強い芯の上に成り立っている。感情を自分の中に飲み込める強さがあるからこそ、私たちに見せる彼は、いつだって優しくて柔らかい。

嬉しい時だって謙虚に「みんなのおかげだ」「周りに支えられた」と、やはり自分を後回しに、人に対して感情を向けていた。

 

 

 

 

小池くんはとても強い人だ。

と、思ってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5月20日、そんな小池くんが、初めて自分のことで涙を流し、感情を吐き出した。

 

 

ポジションバトルで彼はセンターに選ばれた。

前回のグループバトルでも真っ先に立候補していた彼。惜しくもセンターにはなれなかったが、センターになった後藤くんのことを「自分自身なりたかった気持ちはあったけれど、センターとしてチームを引っ張っていってくれて、本当に尊敬できる先輩だと思った」と語った。笑顔で、穏やかな口調で語るその顔は、いつも私たちに見せてくれる顔だった。

どうしても放送された部分でしか彼を感じられない私は、画面に映る彼を"彼そのもの"だと思ってしまう。

 

 

 

今回のポジションバトル、小池くんは初めて、自身の中にある"弱さ"を見せてくれた。

前回センターになれなくて悔しかったこと、だから今回はどうしてもセンターになりたかったこと、けれど自信がないこと。

バックダンサーをやっていたからこそ、1番前で踊るアーティストになりたいこと。

 

私たちは初めて、彼が彼自身に感情を向けて自分のことで泣いている彼を見た。

 

 

 

 

 

 

たった18歳の彼は、私たちに見せないように、私たちが知り得るよりもっともっと多くの、たくさんのものを背負って抱え込んで苦しんでいた。

 

なんて強い人なの。私たちにその葛藤を、ひとつも見せずにあなたは。

 

 

とても強いあなたは、本当は弱くて脆くて、いつも精一杯だったんだね。

 

 

 

 

 

 

 

私たちは、小池くんのことを何も知らない。

知らないから、放送で見せてくれる彼が私たちにとっての"彼の全て"でしかない。

 

 

全身で楽しそうに踊り本当にダンスが好きなこと、控えめな性格だけど積極性があること、心にずっと熱意を持っていること、太くて強い芯と脆くて繊細で不安定な心がとても18歳らしいこと。いつも周囲に感謝し謙虚なこと。パフォーマンス以外の時は少し様子がおかしいこと。

世間の評価よりも自己評価がずっと低いこと。

 

私は、今まで私たちに見せてくれたそんなあなたが、とても愛おしい。

 

 

そして、

 

センターになれたことが泣くほど嬉しかったこと。センターらしく振る舞えなくて苦しかったこと。悔しくて苦しくて若い心では抱えきれなかったこと。8キロも痩せたこと。本気でセンターを頑張るために何度も何度も手を挙げつづけたこと。

周囲のおかげで少しずつ自分に自信が持てたこと。

 

見せてくれてありがとう。あなたのことが、もっともっと大切で愛おしくなりました。

 

 

けれど、

 

もっともっと、自分の感情に素直になっていいんだよ。1位を取って嬉しかったら喜んでいいし、めちゃくちゃ頑張りました!って胸を張ってもいい。声をあげて大泣きしたっていい。

 

 

だって、本気なんだから。

私は小池くんの全てを知らないけれど、君が本気なことくらい分かるよ。

本気で感情が動いている時くらい、誰のことも気にせず、自分を後回しにせず、自分のために泣いたり笑ったりしていいよ。いつも強い君でいなくたっていい。

 

自分が主役の時にすら謙虚に生きる君だから、私は好きなんだろうな、とも思うけれど。

 

だけど、だからこそ今回、小池くんが内側を見せてくれて、感情を出してくれて、本当に嬉しかった。等身大の、18歳の小池くんを垣間見ることができて、またひとつ君を知ることができた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先週突然10位に躍り出た小池くん。

ベネフィットを獲得し1位になった小池くん。

最新順位で4位になった小池くん。

 

あまりに世界が一変して、我々から見える世界すら変わった。

前回の記事で、

追う立場から追われる立場となった君を待ち受けるのは、温かいものだけではないかもしれないね。我々も、今までよりももっと荒野を歩むことになるかもしれない。

と記したけれど、まさにそのような世界に、小池くんと我々は来てしまった。我ながら未来予知すぎる。

 

世間からの声は、温かいものばかりではなかった。26位だった、いわゆる"下位"だった彼が頂点に立つことを、快く思わない声もあった。

 

うるせえ言わせとけ。

 

 

事実として、小池くんに魅力を感じて投票している人がたくさんいる。だから26位から10位になった。小池くんに心を動かされたから投票した人がたくさんいる。だから現場評価で1位を取った。

それは揺るがないのだから。

 

 

メンバーの4人が小池くんにセンターを託してくれた。小池くんを信じてくれた。認めてくれた。支えてくれた。鼓舞してくれた。

強くて凛としているけれど感情を出すのが苦手で繊細な小池くんを、まるごと愛してくれた。

 

だから小池くんは1位を取れた。

 

 

4人がたくさん愛してくれた小池くんを、4人と一緒だったからこそ輝けた小池くんを、小池くん自身も、私たちも、誇っていい。

私は心から誇りだよ。君のこと。

 

 

 

 

 

 

小池くん

 

今4位の君から見える世界はどうですか?私の目には、レモンイエローのように暖かくはっきりとした輪郭で、世界が見えます。

もしかしたらこれからも、君の元には向かい風が吹くかもしれない。6月13日まで君が歩む道のりは、やっぱりひどく険しくてしんどいかもしれない。

強い君が、強さの鎧を被るのが上手な君が、私は大好きだけど、いつも強い君じゃなくてもいいよ。辛いこと、悲しいこと、悔しいこと、やるせないこと、全部素直に見せてくれていいよ。いつでも全力で、全身で生きる君のことを、ひとつ残らず抱きしめて守るよ。

 

 

 

 

 

 

 

私は小池くんがデビューできると信じているけれど、そうでなければならないと思っているけれど、もし例え君がデビューできなかったとしても(いやデビューしますが)

26位だった小池俊司という少年が覚醒し1位を取ったこと

は、一生語り継がれると思うよ。そのくらい伝説のステージだったと、私は思います。伝説のステージを作り上げた君が、5人が、私の自慢です。

 

 

 

 

 

美しく咲き誇る君の人生が、自分自身に、たくさんの人に愛されて、一生明るく瑞々しいものでありますように。